■ 鬼太鼓座 怒涛万里
完全にオーディオレベルの録音で、低音チェックに向いているだけでなく、三味線の音も鋭く切れるような音が普通に入っている、恐ろしい音源だと思う。
システム全体の性能が向上すればする程、リアルに聞こえる。
太鼓の皮が薄くて強靭なこと、それを叩く人間がどれほど鍛えて太鼓に向かっている様までもが聞こえてくる。
ドロドロした低音では幾ら量感があっても、ちっともゲゲゲでは無い。
乾いた空気を切り裂くような低音でないと駄目なのである。
以前、吉野の山で200年モノの吉野杉を倒す現場を見学したことがある。
200年もの大木が倒れる際には、木の繊維が悲鳴をあげて倒れる。
「ビシュッッ、ビシュッッ」と倒れるのである。
その音が忘れられない。
Ge3の低音の原点は吉野の山のあの吉野杉が倒れる現場にあり、それを再現するコトが目的なのである。
本当のリアルさはそれに付いて来ると考えている。
あの低音を再現したくてチューニングを始めた訳だ。
”大地”も”ヒグラシ”も”モアレ”もすべての原点がそこにある。
乾いた低音が聞こえるシステムはジャンルを問わず、より”リアル”に近づける。
鬼太鼓座が鳴らないと三味線も鳴らないし、オーケストラも無理なのだ。
先日、HHさんがウチのシステムを聞きに来てくれた。
残念ながらメインのマッキントッシュはチャンデバの不具合で叶わなかったが、
仕事中に聞いているシステムを聴いて貰う事が出来た。
Ge3チューンの度合いで云うならば、このパイオニアの方が遥かにフルチューンに近い。
HHさんは「音色や質はLAT-1000の方が大分良いが、スピード感は負けている。」ですと…
お世辞90%だとしてもGe3が求めて来たことが理解してもらえた気がした。
確かに「ビシッ!」と切れるような、「フッ」と風のような低音はスピード感が無いと聞こえない。
残念ながらGe3チューンしたシステム以外では、鬼太鼓座の太鼓が聴こえた試しがない。
「げげげじゃないけど聞こえるよ」と、いうシステムがあったら是非聞かせて欲しい。
音質のことを言っているのでは無いよ。
バイオリンやピアノ、オーケストラを上手く聴かせるSPは沢山あっても、
乾いた風がのような低音が聞こえるSPが無いのである。
是非、風の低音を聴く行脚をしてみたい。