イブの時間

■ イブの時間

 

2,3年前のアニメだが倶楽部員らしい事に今更ながら気がついた。

「人間とロボットとの葛藤」の話だと言ってしまえば簡単だが、
オタク文化の歴史が長い日本と違って西洋では簡単なことではないらしい。
※多分、聖徳太子以降…

ロボット3原則を最初に言ったのはSF作家のアシモフだと思う。
この思いは、当初SFという狭い世界でのみ受け入れられて来た訳だが、日本ではカナリ事情が異なる。
日本では子供向けのマンガからそれは始まった。
言うまでもなく手塚治虫の鉄腕アトムからだが、
それを子供達に広める事を許したのも、元々そう云う土壌が日本にはあったからだと思う。

「人間は神様が創った」とするキリスト教の教えは、我々が思う以上に頑なで他の考えを許さない。
米国人の30%が、言葉通りに理解しているという事実を、我々はどう理解すれば良いのだろう。
では「世界はどう考えているのか?」と思うと背筋が寒くなる。
英国に留学していた遺伝子研究者の話を聞いたことがある。
「多くの同僚が”反キリスト的”との葛藤で悩んでいたが、私は(日本人)は平気だった。」との話も現実なのだ。
しかし、一旦敷居が取り払われると暴走気味になることのは彼らのパターンなのを忘れてはならない。
これに似た話はロボット研究での話でもよく耳にする。
日本では人間型ロボットの研究が多いが海外では自立型の機械の研究の方が多いらしい。
日本人は人間に似たロボットを作っても厭わないのだ。

それは、手塚 治の「鉄腕アトム」の影響なのは間違いない。

鉄腕アトムは1963年1月1日から1966年12月31日まで193話放映された。
つまり30分のロボット3原則の訓話を、毎週、毎週聴いて育った訳だ。
それは我々の体に染み混んでいる。
彗星を探索して帰還した”はやぶさ”の開発者もアトムの洗礼を受けたと聞く。
HONDAでASIMOを作っている人達も全て同じだ。

この”イブの時間”は、人間とロボットの微妙な関係を極めて日本的に描いた話なのだが、話の先が見えない、
途中で終わってしまっている。
テレビ局の経営陣はアトムの洗礼を受けてはいない。
話が端折られても意に介さない。
そもそも、意味を理解しているとも思えない。
6回で終了と云う異常を恥ずかしくないのだから…

「イブの時間 劇場版」のエンドロールを観ると、少しは制作者の思いが判るかも知れない。

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